掻乱
掻乱
名詞
標準
文例 · 用例
僕は全然恋の奴隷であったからかの少女に死なれて僕の心は掻乱されてたことは非常であった。
— 国木田独歩 『牛肉と馬鈴薯』 青空文庫
卯の花を掻乱し、萩の花を散らして狂う。
— 泉鏡花 『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫
湖と、船大工と、幻の天女と、描ける玉章を掻乱すようで、近く歩を入るるには惜いほどだったから…… 私は――(これは城崎関弥と言う、筆者の友だちが話したのである。
— 泉鏡花 『小春の狐』 青空文庫
」 と、掌をもじゃもじゃと振るのが、枯葉が乱れて、その頂の森を掻乱すように見え、「何かね、その赤い化もの……」「赤いのが化けものじゃあない――お爺さん。
— 泉鏡花 『燈明之巻』 青空文庫
と総身を震はして、小さな口を切なさうに曲めて開けると、煽つ水に掻乱されて影が消えた。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
宵の口であるから構内は右往左往に人が入乱れて、目まぐるしさに、彼の頭は掻乱され、何もかも忘れてしまひたい様な気がして片隅のベンチに彼は腰を下した。
— 平出修 『逆徒』 青空文庫
倒れながら屹とその面を上げると、翼で群蝶を掻乱して、白い烟の立つ中で、鷲は颯と舞い上るのを、血走った目に瞶めながら少年は衝と立った。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
――恁る霜夜に、掻乱す水は、氷の上を稲妻が走るかと疑はれる。
— 泉鏡花 『妖魔の辻占』 青空文庫