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苦蓬

にがよもぎ
名詞
1
標準
文例 · 用例
と共に、苦蓬酒のやうな生活の中に、隱忍的の苦を送つてゐられる氏を、強い感激的な念にうたれざるを得ない。
萩原朔太郎 純情小曲集 青空文庫
官能の疲れを苦蓬酒の盃に啜り象徴のあやかしを珈琲の煙に夢みる近代の騷客、ともすれば純情の心雅びかなる古巣にのがれて此の古き歌集の手觸りに廢唐のやるせなき風流を學ばんとす。
萩原朔太郎 短歌 青空文庫
すると向こうから、姫苦蓬や荒地野菊の雑叢の間を、静枝が此方ヘ歩いて来るのだった。
佐左木俊郎 接吻を盗む女の話 青空文庫
薄あかりのなかに凝視むる小さな銀側時計の怪しい數字に苦蓬の香沁みわたり、右に持つた薄手の和蘭皿にはまだ眞赤な幼兒の生膽がヒクヒクと息をつく。
北原白秋 思ひ出 抒情小曲集 青空文庫
裁判所長はテーブルに近づくなり、最も強い苦蓬入りのウォツカを一杯ついで、『わしは一体全体、あのチチコフという男が何者なのか、ぶち殺されたって分りませんよ』と言った。
または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊 死せる魂 青空文庫
火酒はまるで蕁麻のやうに彼の舌を刺して、苦蓬の汁よりも苦く思はれた。
VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI ディカーニカ近郷夜話 前篇 青空文庫
祖父の家の中庭の隅に、誰にも見捨てられた苦蓬の茂った穴がある。
宮本百合子 マクシム・ゴーリキイの発展の特質 青空文庫
祖母の家の中庭の隅に、誰にも見捨てられた苦蓬の茂った穴がある。
――幼年時代・少年時代・青年時代―― マクシム・ゴーリキイの伝記 青空文庫