男雛
おびな
名詞
標準
Emperor hina doll
文例 · 用例
「この位なお膳がありましょう、男雛のと女雛のと一対、そら、あの、」 金之助は熱心に耳を傾けながら頷いた。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
それもこれも、事の起こりはみんなあれなる男雛のにせものがもとでおじゃりますゆえ、ようく手にとって、お調べくださりませ」 いいつつ目をしばたたきながら、孫思うご後室は、身も世もないというように、老いのしずくを払い落としました。
— 因縁の女夫雛 『右門捕物帖』 青空文庫
「ちとこれは久方ぶりでなまめかしゅうなったかな――」 いうように、名人は目に微笑を浮かべながら、じろじろと問題の男雛を見ながめていましたが、まず事はそれから確かめるが第一と、至極静かにきき尋ねました。
— 因縁の女夫雛 『右門捕物帖』 青空文庫
七つのときから十二年このかた、男雛をかわいがってきたべっぴんなんて、思っただけでもべっぴんべっぴんしているじゃござんせんか。
— 因縁の女夫雛 『右門捕物帖』 青空文庫
しかも、男雛ばかりか、女雛もそろっているうえに、そのまた男雛が、名人のこわきにしてきた問題のまがい雛と、形も同じ、塗りも同じ、着付けの京|金襴の色までがまったく同様同形同色でしたから、名人のことばがさらにさえました。
— 因縁の女夫雛 『右門捕物帖』 青空文庫
女雛男雛一対が大枚五両でございますよ!
— 因縁の女夫雛 『右門捕物帖』 青空文庫
あるおかたがひょっくりお越しなさいまして、おまえはまがいものをこしらえるがじょうずとのうわさじゃ、ないしょに急いで古島雛の男雛を一つ、――ようござんすか、ここがだいじでもあり、あたしの冤罪の晴れる急所でもございますから、よくお聞きくださいましよ。
— 因縁の女夫雛 『右門捕物帖』 青空文庫
なんのごつごうか、古島雛の男雛ばかりを一つ、至急にこしらえろとのご注文でござりましたゆえ、ご存じのとおり、あの内裏雛は天下のお名物お宝物でございます。
— 因縁の女夫雛 『右門捕物帖』 青空文庫