綾取る
あやどる
動詞
標準
文例 · 用例
かと思へば、目の前に近いのは、あらう事か、鬼の首を古綿で面形に取つた形に、靄がむら/\と瓦斯燈の其の消えたあとに蟠つて、怪しく土蜘蛛の形を顯し、同じ透間から吹く息も、これは可恐しい絲を手繰つて、天へ投掛け、地に敷き展べ、宙に綾取る。
— 泉鏡太郎 『三人の盲の話』 青空文庫
わなゝく指にて裾を紮げ、手拭もて鉢巻し、脇差の下緒にて襷十字に綾取る間もあらせず。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
生活に対する虚無風な態度とそれをあやどる女心というようなものが、作品世界の調子として自覚的に扱われ、この婦人作家が情痴と貧困とを語る芸術の方法となって行った。
— 宮本百合子 『婦人と文学』 青空文庫
白雲をあやどる山脉はいよいよ迫りてかぶせかゝらん勢ひ恐ろしく奥山の雪を解かして清らかなる水は谷を縫ふて其響凄し。
— 正岡子規 『かけはしの記』 青空文庫
一刻千金も高ならぬその有様をまともに見る広間はあけはなされてしきつめられた繧繝べりの上をはすにあやどる女君達の小机帳は常にもまして美くしい。
— 宮本百合子 『錦木』 青空文庫