誹
誹
名詞
標準
文例 · 用例
我れはさても、殿をば浮世に誹らせ参らせん事くち惜し。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
それに対してロスケリヌスは、類概念を名目に過ぎずとする唯名論の立場から、父と子と聖霊の三位は三つの独立した神々であることを主張して、三神説の誹りを甘受した。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
日本人の理化学思想に乏しい事を罵ったり、オリジナリティのない事またそれを尊重しない事を誹ったりしているが、大正の現在でも同じような事を云っている人が多いから面白い。
— 寺田寅彦 『断片(2)』 青空文庫
よく「無弦の琴」とか、「無声の韻」とかいう言葉がありますが、これはその心境を解したもの同志の間で言うことであって、これを生のまま人に理解を押し付けるといわゆる「野狐禅」とか「生悟り」とかいうものになりまして、却って仏教が世間から誹を招く基になるのであります。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
…… ――其の後、売薬規則の改備によって、医師の誹謗が禁じられると、こんどは肺病全快写真を毎日掲載して、何某博士、何某医院の投薬で治らなかった病人が、川那子薬で全快した云々と書き立てた。
— 織田作之助 『勧善懲悪』 青空文庫
何ぞ良い考えはないもんかな」 お前はしきりに首をひねっていたが、間もなく、川那子メジシンの広告から全快写真の姿が消え、代って歴史上の英雄豪傑をはじめ、現代の政治家、実業家、文士、著名の俳優、芸者等、凡ゆる階級の代表的人物や、代表的時事問題の誹毀讒謗的文章があらわれだした。
— 織田作之助 『勧善懲悪』 青空文庫
不備に対して当事者を攻撃し誹謗する事よりもむしろ当事者の味方になり、そうして一般読者とともにその不備を除去する方法を講究する機関となる事を心がけたいものである。
— 寺田寅彦 『一つの思考実験』 青空文庫
誹諧また俳諧は滑稽諧謔の意味だと言われていても、その滑稽が何物であるかがなかなかわかりにくい。
— 寺田寅彦 『俳諧の本質的概論』 青空文庫