顛沛
てんぱい
名詞
標準
文例 · 用例
四十八万円と云ふ金は幾らか田畑にも渡さうが、この金の性質は、実際人民をして流離顛沛乞食たらしめる運動費である。
— 木下尚江 『臨終の田中正造』 青空文庫
かくして、平常、社会に立ちて人事を観ずるにもこれを思い、天地を望みて風月を観ずるにもこれを念じ、造次顛沛もこの一事をして心頭を離れざらしむるに至らば、人生五十年間は幸福、愉快ばかりで日を送ることができます。
— 井上円了 『通俗講義 霊魂不滅論』 青空文庫
願わくは、教育に従事するもの終始一貫、この心をもって心とし、学生たるもの造次顛沛の間も、この心を失わざらんことを。
— 井上円了 『西航日録』 青空文庫
ただ余が意を注ぎ造次顛沛もつねに忘るるあたわざるものは余とともに生活する人民の境遇これなり。
— 徳富蘇峰 『将来の日本』 青空文庫
その捕に就き、獄に投ぜられ、他方に流寓し、あるいは探偵者のために覗われ、あるいは本国政府のために追跡せられ、あるいはその到る処の客土より、放逐せられたるが如き、流離|顛沛の状に至っては、松陰をしてこれに代らしめば、あるいは忍ぶ能わざりしものもあらん。
— 徳富蘇峰 『吉田松陰』 青空文庫
『元亨釈書』の著者|虎関和尚はこの話を批評して、温室を造るのはいいが、垢を流したり膿を吸ったりするのはよけいなことだ、そんな些細なことをしなくても、堅誠あるものは造次顛沛みな阿※を見るといっているが、これはどうも承服し難い。
— 和辻哲郎 『古寺巡礼』 青空文庫
父母たるものは、その児の幼穉にして感得の力もっとも盛なるときにあたり、これを訓ゆる、造次も必ずここにおいてし、顛沛も必ずここにおいてするを得。
— 箕作秋坪 『教育談』 青空文庫