撒水車
さんすいしゃ
名詞
標準
文例 · 用例
その一つに繻絆一枚で腰掛けて老人の読んでゐた新聞に、三十何年とか撒水車を挽いてゐるといふ男の笑つて汗を拭いてゐる写真が通りがかりに見えた。
— 中原中也 『夏の夜の話』 青空文庫
撒水車がゆつくりと登つてきました。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『巴里の手紙』 青空文庫
撒水車の小僧たちお前は撒水車をひく小僧たち、川ぞひのひろい市街を悠長にかけめぐる。
— 大手拓次 『藍色の蟇』 青空文庫
撒水車の小僧たち、あはい予言の日和が生れるより先に、つきせないわたしの寂寥をまきちらせまきちらせ。
— 大手拓次 『藍色の蟇』 青空文庫
焼跡を歩いてゐる中で、一番有難かつたのは、ところ/″\に撒水車の使用する井戸が残つてゐたことである。
— 田山録弥 『地震の時』 青空文庫
私は後には馴れて、爼橋外の撒水車の井戸のあるところに行きに帰りに寄つて、その鉄管に口をつけて、灰燼の中の炎熱に渇した咽喉をうるほすのを例とするやうになつた。
— 田山録弥 『地震の時』 青空文庫
雨は一寸した驟雨で、泡沫が乾いてゆくと、撒水車の通つた後のやうに、埃くさい街の舗道が、水できらきら光つてゐた。
— 林芙美子 『朝夕』 青空文庫
桟橋へ上つて東洋汽船会社の前あたりへ来ると、一本線の電車や二頭の牛を附けた撒水車や、赤い地に真鍮粉の梨地をした力車などが先づ目を引いた。
— 與謝野寛、與謝野晶子 『巴里より』 青空文庫