持ち山
もちやま
名詞
標準
文例 · 用例
それは、其日、二里|許り隔った山城屋の持ち山の木を曳きに行くこの男達の弁当のお菜なのである。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
台山は叔母の家の持ち山だった。
— ――獄中手記―― 『何が私をこうさせたか』 青空文庫
家柄よりも物持ちを貴ぶ風は、山城大和から此頃この伊賀の國へも吹き込んで、田地持ち山持ちが上座になほるのを憤つてゐる源右衞門には、態とらしく丁寧に文吾母子を扱ふ傾きがあつた。
— 上司小劍 『石川五右衞門の生立』 青空文庫
充分老師もご存知の通り、神保帯刀の持ち山からは金石一つ出ぬと云いふらしたは味方の人心を動揺させぬ拙き我らが計略でその実|金石の出ないのは我らが持ち山の天蓋山でござる。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
一度持ち山の検分に家族連れでやって来て、二三日吉野屋に滞在して行った福本の小兵ないかにも精悍な顔付をみんなは思ひ浮べた。
— 金田千鶴 『夏蚕時』 青空文庫
その年の秋、例年通り、村長の持ち山で、胡桃もぎの年中行事があった。
— 宮本百合子 『顔』 青空文庫
釜神の本縁を語り、子持ち山の由来・諏訪本縁を述べたりする説経の、既に、南北朝にある(神道集)のは、平安末の物と違うて来た事を見せ、荒神供養や、産女守護・鎮魂避邪を目的とする盲僧の所為であつたことを見せるのか。
— 唱導的方面を中心として 『国文学の発生(第四稿)』 青空文庫
只今は米持参でなければ大概の宿屋は宿めないが、この村人の厚意により、握飯をも呉れるならば、自分はその握飯を持ち山中へ分け入り、この川の岸に腰をおろして食べるだらう。
— 齋藤茂吉 『支流』 青空文庫