惹
惹
名詞
標準
文例 · 用例
それより惹いて、「鄙びたこと」「垢抜のしていないこと」を意味するようになってきた。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
この突発的なる異常の行為は、さすがに客人たちの注意を惹いた。
— 萩原朔太郎 『ウォーソン夫人の黒猫』 青空文庫
甞て彼――一近代病者は、「情けぞ人の命なる」といふヴェルレーヌが一詩に不図心惹かれ、惹かれた迄はつつましやかであつたが、惹かれ終つて彼はそはそはしはじめた。
— 中原中也 『詩に関する話』 青空文庫
と、聞えてくる音楽には心惹かれ、ちよつとは生き生きしもするのですが、その時その二つつは僕の中に死んで、あゝ 空の歌、海の歌、ぼくは美の、核心を知つてゐるとおもふのですがそれにしても辛いことです、怠惰を※れるすべがない!
— 中原中也 『山羊の歌』 青空文庫
がそれは必ずしも、好きであるからではない、位置が南に偏り過ぎて、雪が早く融けるし、氷河は小ッぽけな塊に過ぎないし、富士山のように、新火山岩で、砂礫や岩石が崩れ易いので、高山植物は稀薄であるし、「好き」になるところまでは行かないが、それでも、最も多く心を惹かれる山である。
— 小島烏水 『火と氷のシャスタ山』 青空文庫
ここで、冒頭に戻って同じ言葉を繰りかえす、アメリカで好きな山は何かと聞かれると、一番先きに頭に浮ぶのは、シャスタ山である、それは必ずしも、好きであるからではないが、最も多く心を惹かれる山であると。
— 小島烏水 『火と氷のシャスタ山』 青空文庫
白い山に碧い空は、最も対照の美なるものである、或植物学者が花の色の最も眼にハッキリ見えやすいのは、緑の葉で包まれた白い花である、と言ったが、碧い空で包まれた白い山も、同じ視線を惹くのである。
— 小島烏水 『高山の雪』 青空文庫
――俺はこの女に対して性慾的などんな些細な興奮だって惹き起されていないんだ。
— 葉山嘉樹 『淫賣婦』 青空文庫