釣り出し
つりだし
名詞
標準
文例 · 用例
手近に金のない時は、板片の端に黐をつけて、銭函の中から銀貨を釣り出した。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
それを見ても、誰れも千代子をまじめには相手にしまいが、意地惡くでも出て、こんな狂人じみた女のおほ袈裟な言葉を釣り出し、それを根據にまたこちら自身の平生を人が世間に廣告しては甚だ以つておほ迷惑だ。
— 毒藥を飮む女 『泡鳴五部作』 青空文庫
悪く云へば、よし子を釣り出した様なものである。
— 夏目金之助 『三四郎』 青空文庫
誘拐者はこの河豚太鼓を餌にして、七つの子供を釣り出したのであろうと、半七は想像した。
— 河豚太鼓 『半七捕物帳』 青空文庫
相間相間に巧みなきっかけを入れて話の後を釣り出して行く吉川夫人のお手際を、黙って観察していたお延は、夫人がどんな努力で、彼ら四人の前に、この未知の青年紳士を押し出そうと試みつつあるかを見抜いた。
— 夏目漱石 『明暗』 青空文庫
悪く言えば、よし子を釣り出したようなものである。
— 夏目漱石 『三四郎』 青空文庫
ほろ酔の顔を擽つたい程の風に吹かせて、その男はまた釣り出した。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
民主的評論家は沈黙し、ジャーナリズムが釣り出した新人でない若い作家のための場面のゆとりは奪われた。
— 宮本百合子 『五〇年代の文学とそこにある問題』 青空文庫