眺
眺
名詞
標準
文例 · 用例
予は起って庭から空模様を眺めた。
— 伊藤左千夫 『大雨の前日』 青空文庫
学資に不自由なく身体の健全な学生程、世の中に羨しいものはなかった、本郷の第一高等学校の脇を通ると多くの生徒が盛に打毬をやって居る、其の愉快げな風がつくづく羨しくて暫く立って眺めた時の心持、何とも形容の詞がない。
— 伊藤左千夫 『家庭小言』 青空文庫
自分は今つくづくとわが子の死に顔を眺め、そうして三日の後この子がどうなるかと思うて、真にわが心の薄弱が情けなくなった。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
色よく黄ばんだ晩稲に露をおんで、シットリと打伏した光景は、気のせいか殊に清々しく、胸のすくような眺めである。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
僕はしばらく立って何所を眺めるともなく、民子の俤を脳中にえがきつつ思いに沈んでいる。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
それより以前は、その辺からずっと眺め渡すことが出来るかも知れませぬけれども、直接に知るということはむずかしいのであります――先ず推古天皇の頃まで溯っても、五十の音がことごとく別々に使われ言い分けられておったということはなかったと思うのであります。
— 橋本進吉 『古代国語の音韻に就いて』 青空文庫
火気の満たる室にて頸やいたからん、振あぐる鎚に手首や痛からん」 女は破れ窓の障子を開らきて外面を見わたせば、向ひの軒ばに月のぼりて、此処にさし入る影はいと白く、霜や添ひ来し身内もふるへて、寒気は肌に針さすやうなるを、しばし何事も打わすれたる如く眺め入て、ほと長くつく息、月かげに煙をゑがきぬ。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
ハア彼の紅|梅がいゝ事ねへと余念なく眺め入りし後より。
— 樋口一葉 『闇桜』 青空文庫