諂
諂
名詞
標準
文例 · 用例
だが誤解する勿れ、著者は民衆に諂らうところの民衆主義者でなく、逆に彼等を罵倒し、軽蔑するところの民衆主義者だ。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
かくてこのあはれなる木は、粗硬な樹皮を、空と風とに、心はたえず、追惜のおもひに沈み、懶懦にして、とぎれとぎれの仕草をもち、人にむかつては心弱く、諂ひがちに、かくてわれにもない、愚事のかぎりを仕出来してしまふ。
— 中原中也 『山羊の歌』 青空文庫
恍惚の笑ひのやうでもあるし、侮蔑の笑ひのやうでもあるし、無心の笑ひのやうでもあるし、役者の笑ひのやうでもあるし、諂ひの笑ひのやうでもあるし、喜悦の笑ひのやうでもあるし、泣き笑ひのやうでもあつた。
— 太宰治 『陰火』 青空文庫
受取るまでは、諂うように仕事に精を出す。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
貧しい者の悲しみや、露骨なみにくい競いや、諂いをこれ事としている人間を見て大きくなった。
— 黒島傳治 『海賊と遍路』 青空文庫
父は母の美人を愛してはいるが、母の諂曲の性質が嫌いでそれで打つ。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
しかし打てども打てども諂曲が母の本性である以上、打ち直される時期があるだろうか。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
人に使われつけている身が主筋に対して、何ぞの愛嬌に、身うちのことを手柄のように暴露して、諂い阿る例は世間によくあり勝ちです。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫