押し拭う
おしぬぐう
動詞
標準
文例 · 用例
「父は尺八、母は琴の名手であったが十九の年に死に別れ、自身も盲目となってこの姿」と涙を押し拭うた。
— 夢野久作 『黒白ストーリー』 青空文庫
彼は、頻りに片手で額の汗を押し拭うようにしながら呟いた。
— 宮本百合子 『古き小画』 青空文庫
その余りのみすぼらしさに、今更ながら、昔の女院の日常が思い合わされ、供奉した殿上人一同、涙を押し拭うのであった。
— 灌頂の巻 『現代語訳 平家物語』 青空文庫
糜芳は城を出て、友を出迎え、まず関羽の消息を問い、荊州の落城を嘆じて、悲涙を押し拭う。
— 出師の巻 『三国志』 青空文庫
そんなに真剣にお恨みすべきでないと、自分ながらも心をおさえようとするのでございますが、それができませんで」 大臣が涙を押しぬぐうのを御覧になって、お化粧あそばした宮のお顔の色が変わった。
— 乙女 『源氏物語』 青空文庫
「どうか、どうか、……どうーか」 葉子はだれにともなく手を合わして、一心に念じておいて、雄々しく涙を押しぬぐうと、そっと座を立って、倉地の寝ているほうへと忍びよった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
ひどく急いで来たものとみえ、押しぬぐうあとから汗がふつふつと湧きだしてくる。
— 山本周五郎 『新潮記』 青空文庫