壺中の天地
こちゅうのてんち
名詞表現
標準
another world
文例 · 用例
鶴見が壺中の天地なぞというのはこんなものかと思っているうちに、夢が青い空気のなかから搾りだされる。
— ――黙子覚書―― 『夢は呼び交す』 青空文庫
白骨は壺中の天地でありましたけれど、ここは山間の部落であります。
— 畜生谷の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
その瞬間、四粒の天地は、早くも五倫の宇宙から、壺中の天地に移動している。
— 椰子林の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
壺中の天地、乾坤の外。
— 日光の巻 『丹下左膳』 青空文庫
しかし自から不幸の輪廓を描いて好んでその中に起臥するのは、自から烏有の山水を刻画して壺中の天地に歓喜すると、その芸術的の立脚地を得たる点において全く等しいと云わねばならぬ。
— 夏目漱石 『草枕』 青空文庫
どこの鼠が猫の子を捕つたんだ」 錢形平次――江戸開府以來と言はれた捕物の名人平次は相變らず貧乏臭い長屋に燻ぶつて、火の消えた煙管を横ぐはへに、世話甲斐のない三文植木を並べては、獨り壺中の天地を樂しんでゐるのでした。
— 蔵の中の死 『錢形平次捕物控』 青空文庫
川原の中を、すっくすっくと歩み行く竜之助、久しぶりで壺中の天地を出て、今宵はじめて天と地のやや広きところへぬけ出したから、この辺から雲を呼んで昇天するというつもりでもないでしょうが、ほんとうに久しいこと、自由な天地を歩きませんでした。
— 勿来の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
結局この爺さんは、広く名声を博する代りに、人知れず壺中の天地を深く愛しはぐくんだのであろう。
— 中村清太郎 『ある偃松の独白』 青空文庫
作例 · 標準
この隠れ家は、都会の喧騒を忘れさせてくれる、まさに「壺中の天地」だ。
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彼が作り出したVR空間は、現実とはかけ離れた「壺中の天地」だった。
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彼女は、読書の世界に没頭することで、自分だけの「壺中の天地」を見つけた。
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