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近郷

きんごう
名詞
1
標準
neighboring districts
文例 · 用例
日曜日の本町の市で、手製の牡丹餅などと一緒にこのいたどりを売っている近郷の婆さんなどがあった。
寺田寅彦 郷土的味覚 青空文庫
其後諸大名が解役されると同時に、山城屋も商途を止め、土蔵や邸の外廓をせばめ鉅万の富を緊密に包掌して、質実な家格の威容を近郷に示して居る内、一夏の悪疫に家内は大方死に尽して、かやの父である幸吉ばかりが、三歳ばかりの幼児のままで取のこされた。
岡本かの子 かやの生立 青空文庫
きいても気の滅入る事は、むかし大饑饉の年、近郷から、湯の煙を慕って、山谷を這出て来た老若男女の、救われずに、菜色して餓死した骨を拾い集めて葬ったので、その塚に沿った松なればこそ、夜泣松と言うのである。
泉鏡花 怨霊借用 青空文庫
なおかくの通りの旱魃、市内はもとより近郷隣国、ただ炎の中に悶えまする時、希有の大魚の躍りましたは、甘露、法雨やがて、禽獣草木に到るまでも、雨に蘇生りまする前表かとも存じまする。
泉鏡花 伯爵の釵 青空文庫
しかも、それが非常な美人だったので「深良小町」の名が近郷近在に鳴り響いているのであったが、可哀相な事にそのマユミは学問上で早発性痴呆という半分生れ付みたような薄白痴であった。
夢野久作 巡査辞職 青空文庫
……にも拘わらず草川巡査の狂人に近い熱心な努力は近郷近在の溜池をまで残る隈なく及んだのであったが、それでも兇器らしいものすら発見出来なかったので、事件の神秘性は、いよいよ高まって行くばかりであった。
夢野久作 巡査辞職 青空文庫
」「鳥右ヱ門様なら、近郷近在に御名の聞えた御名人。
新美南吉 鳥右ヱ門諸国をめぐる 青空文庫
彼の身辺には江戸近郷、遠くは北国西国の果からまで、何百人かの男女の雇人が密集した。
岡本かの子 老主の一時期 青空文庫