瞻
瞻
名詞
標準
文例 · 用例
(万葉仮名として用いた漢字において、mで終る「南」「瞻」「覧」をナム(またはナミ)、セミ、ラムに宛て、kで終る「福」「莫」「作」「楽」を、フク、マク、サク、ラクに宛て、nで終る「散」「干」「郡」をサニ、カニ、クニに宛てたなどを見てもそう考えられる)。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
金岡の萩の馬、飛騨の工匠の竜までもなく、電燈を消して、雪洞の影に見参らす雛の顔は、実際、唯瞻れば瞬きして、やがて打微笑む。
— 泉鏡花 『雛がたり』 青空文庫
なぞと取留めもなく思い乱れて、凝とその大吉を瞻めていると、次第次第に挿画の殿上人に髯が生えて、たちまち尻尾のように足を投げ出したと思うと、横倒れに、小町の膝へ凭れかかって、でれでれと溶けた顔が、河野英吉に、寸分違わぬ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
)と云う瞳が、主税の方へ流るるのを、無理に堪えて、酒井を瞻った顔が震えて、「蔦吉さんはもう落籍ましたそうです。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」と熟と瞻めて色が変った。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」「あら、何でしょう、」 と友達も、吃驚したような顔で※すと、出口に一人、駒下駄を揃えて一人、一人は日傘を開け掛けて、その辺の辻まで一所に帰る、お定まりの道連が、斉しく三方からお妙の顔を瞻って黙った。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
汽車には太く倦じた体で、夫人は腕を仰向けに窓に投げて、がっくり鬢を枕するごとく、果は腰帯の弛んだのさえ、引繕う元気も無くなって見えたが、鈴のような目は活々と、白い手首に瞳大きく、主税の顔を瞻って、物打語るに疲れなかった。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」「お嬢様、まあ、」 と土間に一足おろしさまに、小芳は、急いで框から開ける手が、戸に掴まったお妙の指を、中から圧えたのも気が附かぬか、駒下駄の先を、逆に半分踏まえて、片褄蹴出しのみだれさえ、忘れたように瞻って、「お妙様。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫