夜稼ぎ
よかせぎ
名詞
標準
night work
文例 · 用例
時に通り懸かりたる夜稼ぎの車夫は、怪しむべき月下の密会を一瞥して、「お合い乗り、都合で、いかがで」 渠は愚弄の態度を示して、両箇のかたわらに立ち住まりぬ。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
扨は夜稼ぎ……という訳かな」「そればかりでは御座いませんよ。
— 夢野久作 『超人鬚野博士』 青空文庫
こゝなら夜稼ぎの賊も眼をつけはしますまい」「母が眼をさましさへしなければ……」「草の褥も、おつにはおつですが、かう露がしげくては、腰をおろすわけにもいきませんね」「ぬれにぞぬれてかわくまもなし。
— 岸田國士 『虹色の幻想(シナリオ)』 青空文庫
藤原定家の“明月記”などによると、息子の爲家と來客とのはなしのうちに――都は夜毎群盜になやまされ、この頃では、食へない公卿の家人はみな夜稼ぎに出かけると云つてゐる。
— 吉川英治 『折々の記』 青空文庫
玄関さきには夜稼ぎの辻待ち馬車屋が、粗ラシャの百姓外套を着て、たった一人しょんぼり客待ちをしていた。
— ЗАПИСКИ ИЗ ПОДПОЛЬЯ 『地下生活者の手記』 青空文庫
時たま徹夜稼ぎの円タクが、広い通りを我物顔に、ピュウピュウと走って行くばかりだ。
— 江戸川乱歩 『猟奇の果』 青空文庫
いや、かんじんなのは、そいつよりも、親切ごかしに人の娘を弄んで、その上にもなお、おめえたちのしがねえ夜稼ぎの小銭まで搾り奪ろうとしている悪どい野郎のほうだった。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
で……ござんすもの、どうしてお前さん、夜稼ぎなんか働いているひまがあるものじゃございません」 九兵衛はせせら笑って、「それこそ弘法様が臍で茶をわかすだろう。
— 吉川英治 『江戸三国志』 青空文庫