慟
慟
名詞
標準
文例 · 用例
感傷至上の三昧は玲瓏たり、萬有にリズムを感じ、魚鳥も屏息し、金銀慟哭す。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
愛する兄弟よ、まことに師走におよび、爾は裸體にして氷上に匍匐し、手に金無垢の魚を抱きて慟哭するところの列傳孝子體である。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
「臍の緒に泣く」という言葉は奇警であって、しかも幼時の懐かしい思い出や、父母の慈愛深い追懐やが、切々と心情から慟哭的に歌われている。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
曠野にこうして、ただ立ちつくしているうちに、日がとっぷり暮れて、夜露にこごえて死ぬより他は無いのだろうかと思えば、涙の出ない慟哭で、両肩と胸が烈しく浪打ち、息も出来ない気持になるのだ。
— 太宰治 『斜陽』 青空文庫
」と力めば、金内は、そう言われて尚の事、悲しくうらめしく、しばらくは一言の言葉も出ず、声も無く慟哭していた。
— 太宰治 『新釈諸国噺』 青空文庫
女の主従は左右より屍に取りつき、言葉も無くただ武者振りついて慟哭して、さすがの荒くれた漁師たちも興覚める思いで眼をそむけた。
— 太宰治 『新釈諸国噺』 青空文庫
という電文を、田舎の家にあてて頼信紙に書きしたためながら、当時三十三歳の長兄が、何を思ったか、急に手放しで慟哭をはじめたその姿が、いまでも私の痩せひからびた胸をゆすぶります。
— 太宰治 『兄たち』 青空文庫
」 女の子は声を立てずに慟哭をはじめた。
— 太宰治 『古典風』 青空文庫