関車
せきしゃ
名詞
標準
文例 · 用例
ひどい急坂を上る機関車のような、重苦しい骨の折れる時間が経った。
— 葉山嘉樹 『生爪を剥ぐ』 青空文庫
何の事はない、脱線して斜になった機関車が、惰力で二十間も飛んだ、と云った風な歩きっ振りであった。
— 葉山嘉樹 『坑夫の子』 青空文庫
多分胸の動悸を象徴するためであろうか、機関車のような者を舞台裏で聞かせるがあれは少し変である。
— 寺田寅彦 『初冬の日記から』 青空文庫
動力工場の成り立ち、機関車、新聞紙、書籍、色刷挿画はどうして作られるか、発電所、ガラス工場、ガス製造所にはどんなものがあるか。
— 寺田寅彦 『アインシュタインの教育観』 青空文庫
環境には何ら科学的の刺戟はなかったが、塩水に卵の浮く話を聞いて喜んで実験したり、機関車二台つけた汽車を見てその効能を考えたりした。
— 寺田寅彦 『レーリー卿(Lord Rayleigh)』 青空文庫
どこかの山中の嶮崖を通る鉄道線路の夜景を見せ、最後に機関車が観客席に向かって驀進するという甚だ物々しいふれだしのあった一景は、実は子供だましのようなものであった。
— 寺田寅彦 『マーカス・ショーとレビュー式教育』 青空文庫
舞台の奥から機関車のヘッドライトが突進して来るように見えるのは、ただ光力をだんだんに強くし、ランプの前の絞りを開いて行くだけでそういう錯覚を起こさせるのではないかと思われた。
— 寺田寅彦 『マーカス・ショーとレビュー式教育』 青空文庫
追いかけ呼びもどして三人の見事な口髭、銀色の呼吸を流して、年増女の深い思いが高潮に達したときニコロは私の白いワイシャツの皮膚に彼女の眉墨でもって、レニングラードに向かって驀進する機関車と食用蛙を描いて東洋人が彼女の未来の夫であることを象徴するのであった。
— Love on Drought 『恋の一杯売』 青空文庫