届至
とどけいたり
名詞
標準
文例 · 用例
先づそこから出立して考へて見ることを敢てしないで、いきなり幸島の偽闕、平親王呼はり、といふところから不届至極のしれ者とされゝば、一言も無いには定まつて居るが、事跡からのみ論じて心理を問は無いのは、乾燥派史家の安全な遣り方であるにせよ、情無いことであつて、今日の裁判には少し潤ひがあつて宜い訳だ。
— 幸田露伴 『平将門』 青空文庫
一体そのように化けおって何を致すのじゃ」「奇態に女を蕩かす術を心得おりまして、みめよき婦女子と見ると、いつのまにかこれをたらしこみ、散々に己れが弄んだ上で沢山な手下と連絡をとり、不届至極にも長崎の異人奴に売りおる奴でござります」「なに!? 不埒な奴よ喃。
— 続旗本退屈男 『旗本退屈男 第二話』 青空文庫
一体そのように化けおって何を致すのじゃ」「奇態に女を蕩かす術を心得おりまして、みめよき婦女子と見ると、いつのまにかこれをたらしこみ、散々に己れが弄んだ上で沢山な手下と連絡をとり、不届至極にも長崎の異人奴に売りおる奴でござります」「なに※ 不埒な奴よ喃。
— 第二話 続旗本退屈男 『旗本退屈男』 青空文庫
庄三郎下女 きく此者儀主人庄三郎妻つね何程申付候うとも、主人のことに候えば致方も可有之の処、又四郎に疵付候段不届至極に付、死罪に申付。
— 岡本椅堂 『黄八丈の小袖』 青空文庫
刑吏の長 それでは、罪状を読み上げい!刑吏二 (声高く読み上げる)弦打村百姓 甚兵衛その方儀、去る十三日領内百姓一揆騒動いたし候|砌、右一揆に加担いたし、香東川堤において上役人松野八太夫に投石殺害いたし候始末、不恐御領主を仕方、不届至極につき、磔申付くる者也。
— 菊池寛 『義民甚兵衛』 青空文庫
「この堂を焼いてしまえ、不届至極の堂じゃ」 六郎はそう云ってから堂の方へ往った。
— 田中貢太郎 『頼朝の最後』 青空文庫
軍右衛門、妻を奪われ、抜きも合さず姦夫の為に殺害せらるる段、年寄役ともあろう者として不届至極、本来ならば跡目断絶させるべき所、其方の志にめで、又家中の旧家の故を以って、特に清十郎にそのまま恩禄を下しおこう。
— 直木三十五 『相馬の仇討』 青空文庫
全くまアいわば幸福のある状態に達している二人の間へ、やがて麻痺していく男女の感覚の行方を、今から予想させるとは不届至極だと矢代は思った。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫