残灯
ざんとう
名詞
標準
文例 · 用例
行人馬上去 行人馬上に去り、殘燈照空驛 残灯空駅を照せり。
— 河上肇 『閑人詩話』 青空文庫
第二四一、ヤソ教今日の実況 欧州今日のヤソ教は、つらつらその実況を観察するに、到底、進んで当時の学術と論壇に理鋒を争うことあたわざるを知り、退いて道徳の孤城を守り、落日残灯の下に往時の隆盛を追懐してやまざるがごとし。
— 井上円了 『欧米各国 政教日記』 青空文庫
しかしまたしばらくするとそれは、甘いようなすすり泣きに変り、夫婦らしい密語にしいんと密まッて、なお、しゅくしゅくと、五更の残灯もともにまたたき哭いているふうだった。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
煙草盆を並べて、もう一つ、黒塗|金蒔絵の小さな棚を飾って、毛糸で編んだ紫陽花の青い花に、玉の丸火屋の残燈を包んで載せて、中の棚に、香包を斜めに、古銅の香合が置いてあって、下の台へ鼻紙を。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
早瀬は起上って、棚の残燈を取って、縁へ出た。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
枕に手を支き、むっくり起きると、あたかもその花環の下、襖の合せ目の処に、残燈の隈かと見えて、薄紫に畳を染めて、例の菫色の手巾が、寂然として落ちたのに心着いた。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
残燈はその枕許にも差置いてあったが、どちらの明でも、繋いだものの中は断たれず。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
残燈暗く床柱の黒うつややかにひかるあたり薄き紫の色籠めて、香の薫残りたり。
— 泉鏡花 『竜潭譚』 青空文庫