憤恚
憤恚
名詞
標準
文例 · 用例
しかもその語尾は抑え切れない憤恚にふるえているのが、玉藻にはよく判っているらしかった。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫
兄弟の不和――それから出発して来た兄の憤恚であるらしいことを、古入道の信西は早くも看て取った。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫
長い間胸にこだわっていた憤恚が一時|弛んだとしても、それはやがて猛然と爆発する前提に外ならなかった。
— モーリス・ルヴェル Maurice Level 『生さぬ児』 青空文庫
男は憤恚心頭に発して、思わず身をかがめて子供を手許へ引きよせたが、その瞬間にアッといって呪いの言葉も喉につかえた。
— モーリス・ルヴェル Maurice Level 『生さぬ児』 青空文庫
顳※のあたりがずきんずきんして、総身が憤恚で酔っぱらっているようであった。
— モーリス・ルヴェル Maurice Level 『麦畑』 青空文庫
われわれもかようなことをいうのは、実に情ない残念なことである……」 しばらくは、止むにやまれぬ憤恚が悪態となって口をでた。
— 大鹿卓 『渡良瀬川』 青空文庫
それとは反対に、まんまと繊手の術中におとされた深見重左は、憤恚の形相を黒装束の者どもに向けて、「まだ間があるッ、その暇に此奴らを片っ端から血の池へ並べてしまえ!
— 吉川英治 『剣難女難』 青空文庫
ああ、ではその幻の裡に――と思うと彼の全身は憤恚の火となって包まれた。
— 吉川英治 『剣難女難』 青空文庫