潤み声
うるみごえ
名詞
標準
文例 · 用例
「貴方もあんまりだ」 とお隅は潤み声でいう。
— 島崎藤村 『藁草履』 青空文庫
」と、一時のがれの慰めを云いますと、お敏はようやく涙をおさめて、新蔵の膝を離れましたが、それでもまだ潤み声で、「それは長い間でしたら、どうにかならない事もございますまいが、明後日の夜はまた家の御婆さんが、神を下すと云って居りましたもの。
— 芥川龍之介 『妖婆』 青空文庫
「イ※ン・アンドレーイチ、この景色を描写して下さいな」とマリヤ・コンスタンチーノヴナが潤み声を出した。
— ДУЭЛЬ 『決闘』 青空文庫
」 とお妙は口惜しそうに、あわれや、うるみ声して云った。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
(とうるみ声にて、送り出づる時、可愛き人形袖にあり。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
更にまた、感情の激発に伴ふ異常な声の調子を呼んで、怒声、笑声、歓声、うるみ声、おろおろ声、などと云ふが、このなかには、もう既に、声の領域から、広い意味に於ける言葉そのものの領域に足を踏み込んでゐるものもある。
— 岸田國士 『「語られる言葉」の美』 青空文庫
でも、ほんとにさうなんですもの……」 すこしうるみ声で、さう言ひながら、彼女は、持つてゐるハンケチを自分の眼に押しあてた。
— 岸田國士 『菜の花は赤い』 青空文庫
にんじん(うるみ声で、呟くように)――おお、び、び、びとくよ……なん……なんじは……ただ、ひとつの……な、なにすぎず……。
— POIL DE CAROTTE 『にんじん』 青空文庫