御雛様
おひなさま
名詞
標準
文例 · 用例
彼は雛祭の宵に生れた女の子の運命を、あたかも御雛様のそれのごとく可憐に聞いた。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
御雛様に芸者の立て引きがないと云って攻撃するのは御雛様の恋を解せぬものの言草である。
— 夏目漱石 『野分』 青空文庫
今年は清子がいませんから加留多会もしませんし御雛様もないものですから。
— 永井荷風 『春雨の夜』 青空文庫
それでもとうとう画いてもらったのを壁に針で止め、桃の枝を探して生けましたら、母が豆妙を造って下すったので、やっと御雛様らしくなりました。
— 小金井喜美子 『鴎外の思い出』 青空文庫
女は不思議なかおをして、「おひな様でございますか、何に遊ばすんでございます」「何故もって来て呉れないのか、私は死んでしまうから」 こわいきびしい調子で云ったので女は気味をわるがって西の対へ使に行って間もなく美くしいひなを持って来た。
— 宮本百合子 『錦木』 青空文庫
机の上に、三日のおひな様のとき戸塚の花やで買って来た見事なアネモネがさしてあって、それは一昨日あたり今にも紫の粉を撒いて散りそうに開いていたのが、きょうあたりは花弁をすぼめておつぼの形です。
— 一九三八年(昭和十三年) 『獄中への手紙』 青空文庫
三月三日、おひな様の日です。
— 一九三九年(昭和十四年) 『獄中への手紙』 青空文庫
おひな様でね、たあ坊に、小さい肴屋さんとおそばやさんの人形が買ってあるのを届けに。
— 一九三九年(昭和十四年) 『獄中への手紙』 青空文庫