有り合わせ
ありあわせ
名詞
標準
文例 · 用例
遺骸は有り合わせのうちでいちばんきれいなチョコレートのあき箱を選んでそれに収め、庭の奥の楓の陰に埋めて形ばかりの墓石をのせた。
— 寺田寅彦 『備忘録』 青空文庫
荒涼、陰惨、ディスマル、トロストロース、あらゆる有り合わせの形容詞の総ざらえをしても間に合わない光景である。
— 寺田寅彦 『銀座アルプス』 青空文庫
有り合わせの餌を一片二片とだんだん近くへ投げてやると、おしまいには、もう手に持っているカステイラなどをくちばしで引ったくって頬張る事を覚えてしまった。
— 寺田寅彦 『沓掛より』 青空文庫
有り合わせのものの中からできるだけ地味な一そろいを選んでそれを着ると葉子はすぐ越後屋に車を走らせた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
正体なく眠っている仇の枕もとへ這い寄って、そこに有り合わせた細紐で力まかせに絞め殺した途端に、そばに寝ていた吉助が眼をさました。
— 張子の虎 『半七捕物帳』 青空文庫
有り合わせの薬を飲ませて介抱して、ともかくも奥へ連れ込みまして、表向きは死骸紛失ということにお届けを致させました」「お歌はそれからどうしました」「日が暮れてから気分も快くなったと申しますので、裏山づたいに帰してやりました。
— 地蔵は踊る 『半七捕物帳』 青空文庫
兇器の鎌はあたかもそこらに有り合わせたのか、あるいは甚吉が持ち出して来たのか、それは判らなかった。
— 岡本綺堂 『真鬼偽鬼』 青空文庫
わたしはこれからちょっと行って来ますよ」 お由は有り合わせの菓子折か何かを持って、直ぐに隣りへ出て行った。
— 白蝶怪 『半七捕物帳』 青空文庫