応吟
おうぎん
名詞
標準
文例 · 用例
それでも芝居の喧嘩の一件が町方の耳に這入って、芝居茶屋の方を一応吟味したのですが、茶屋でも何かのかゝり合を恐れたとみえて、そのお武家は初めてのお客であるから何処の人だか知らないと云い切ってしまったので、まるで手がかりがありません。
— 岡本綺堂 『三浦老人昔話』 青空文庫
道庵が、この莫大なる軍用金の不意の出現にうつつを抜かしたのはいいが、その出所に就いて一応吟味しなかったというのは不覚でありました。
— 不破の関の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
この、白昼、炉を擁してという言葉が、一応吟味すると、意味をなしていない言葉のようです。
— 不破の関の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
それがために道庵は、役所へ引張られて一応吟味の上が、手錠三十日間というお灸になったのは、自業自得とはいえかわいそうなことであります。
— 道庵と鰡八の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
すべて、この場の突発椿事の一切の責任を、挙げて茸氏に帰してしまおうとするのは、右に挙げた類の茸族のうちのいずれがその加害者であるか、或いはほとんど全部の共謀のような形になっているか、或いはその中のほんの一種類だけの悪戯に過ぎないか、その辺を再応吟味してみる必要はあるのです。
— 畜生谷の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
例へば公衆道徳の問題にしても、かの消費面に見られる諸設備の倫理的意義を考へるだけでなく、都市を構成する諸機能のひとつびとつについて、それが市民生活を混乱に陥れるか、秩序に導くかを一応吟味してみるがよい。
— 岸田國士 『都市文化の危機』 青空文庫
局部的な、或は本末を考へない主張の乱立、対峙をこの際一応吟味整理して、真にわれわれの日本語を豊かな純な、力強いものにする責任を国民全体の念願として果したいものである。
— 岸田國士 『「国語文化講座」監修者の言葉』 青空文庫
これと同様に、農村が仮りにその無頓着さのために強い兵隊を生むとして、無頓着にもいろいろあるといふことを一応吟味してかゝる必要があると思ひます。
— ――力としての文化 第三話 『戦争と文化』 青空文庫