山巒
さんらん
名詞
標準
文例 · 用例
併し、女性的とはいへ、山の温泉であるから、樹木が多く、雲や霧がふだんに立ちこめて、山巒といふ感じは充分にある。
— 萩原朔太郎 『石段上りの街』 青空文庫
温泉場や避暑地の興味に於ける大部分は、一種のロマンチツクな夢幻的情趣――山巒の奥深く美しい生活の夢を捉へるといふやうな、言はば山間都市に対する蜃気楼的な幻想――にある。
— 萩原朔太郎 『石段上りの街』 青空文庫
適度の文明的人工物は、自然をして軽快ならしめ、森や林や山巒に、微かな香水の匂ひをあたへる。
— 萩原朔太郎 『石段上りの街』 青空文庫
向方の紫山巒※闇黒の裡、僅に其所在を認む可く、其下水田を隔てゝ寒村あり。
— 長塚節 『草津行』 青空文庫
悉く水田地帯で、陸羽国境の山巒地方から山襞を辿って流れ出して来た荒雄川が、南方の丘陵に沿うて耕地を潤し去っている。
— ――私の郷土を語る―― 『荒雄川のほとり』 青空文庫
そしてその平野に落ちやうとする處には、到る處にすぐれた眺望を持つた山巒が聳えてゐた。
— 田山花袋 『日光』 青空文庫
萬葉集にある安蘇山の歌は、皆その時分の旅客がこの山巒に添つて旅行してゐる形をよくあらはしてゐるのである。
— 田山花袋 『日光』 青空文庫
そして佐野から出た路は、この山と岩舟、唐澤の山巒の間を通つてずつと下野の國府へと出て行つてゐた。
— 田山花袋 『日光』 青空文庫