青蚊帳
あおがや
名詞
標準
文例 · 用例
いいえ、でも、その青蚊帳に写した幻燈のような、ぼやけた思い出が奇妙にも私には年一年と愈々はっきりして参るような気がするのでございます。
— 太宰治 『葉』 青空文庫
ほんとうに申し訳がございませぬけれど、なにもかも、まるで、青蚊帳の幻燈のような、そのような有様でございますから、どうで御満足の行かれますようお話ができかねるのでございます。
— 太宰治 『葉』 青空文庫
上目瞼は薄黒い皺のまま大きな眼球の上に高まって、鼻柱と頬骨との間の眼下の筋肉の著しいたるみは、丁度、色の褪せ切った青蚊帳の古い端片れを吊げた様に見えた。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
秋の半ばになってもまだ四辺を深く木立が囲んで居るので、油断のならない程、大粒な縞蚊などが絶えないので夏のまま、矢張り青蚊帳を釣るのであった。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
帰ると直ぐ、私は客間につられた広い青蚊帳のなかで、甘い眠りに陥ちた。
— 徳田秋声 『町の踊り場』 青空文庫
青蚊帳に微風がそよいで、今日も暑そうであったが、ここは山の庵にでもいるような気分であった。
— 徳田秋声 『挿話』 青空文庫
帰るが早いか、ほんとうにそのまま青蚊帳の中へ、楽々と身を横たえました。
— 朱彫りの花嫁 『右門捕物帖』 青空文庫
今夜初めて蚊帳を吊つた、青々として悪くない(私は蚊帳の中で寝る事をあまり好かないのだが)、それにしてもかうした青蚊帳を持つてゐるのは彼女の賜物だ。
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫