兀然
こつぜん異読 ごつぜん
形容詞-たる副詞-と
標準
towering
文例 · 用例
余は此の如き場合の經驗を有して居らぬので只兀然として女のいふことを聞いて居るのである。
— 長塚節 『佐渡が島』 青空文庫
葦の茂りを後にするとそれから續いた長い磯が見え出して遙かに猫の耳のやうな二つの山が兀然として聳えて居る。
— 波の上 『佐渡が島』 青空文庫
客は三組ばかり、各静に窓前の竹の清韻を聴きて相対せる座敷の一間奥に、主は乾魚の如き親仁の黄なる髯を長く生したるが、兀然として独り盤を磨きゐる傍に通りて、彼は先づ濡れたる衣を炙らんと火鉢に寄りたり。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
遥かの空に白雲とのみ見つるが上に兀然として現われ出でたる富士ここからもなお三千仞はあるべしと思うに更にその影を幾許の深さに沈めてささ波にちぢめよせられたるまたなくおかし。
— 正岡子規 『旅の旅の旅』 青空文庫
その日の帰りに、千束町を出ると夜暗の空に、真赤な靄がたちこめて、兀然と立ちそびえている塔が見えた。
— 長谷川時雨 『朱絃舎浜子』 青空文庫
畳の上へ兀然と立って、まるで怒ってでもいるように、飛び脚を高く鉤のように曲げて、蟋蟀は気勢をうかがっている。
— 国枝史郎 『娘煙術師』 青空文庫
井上安治の洲崎は――安田雷洲の洲崎なども同じやうな図柄の――前景に長い川添ひの堤防があつて、草地となり、これが埋立地とおぼしく、はるかに神社の屋根が兀然と高く見えるのは洲崎弁天に相違ないものである。
— 木村荘八 『洲崎の印象』 青空文庫
――中国の毛利と、大坂の石山本願寺、こう二大敵国を繞って、それに連鎖する山陰の波多野一族や、播磨の別所や、伊丹の荒木村重などの群れが、兀然と、いまはその敵性と一環の聯絡とを、明らかに誇示して来たなと――身の緊まる思いがするのであった。
— 第五分冊 『新書太閤記』 青空文庫
作例 · 標準
鋭く切り立った岩山が、兀然とそびえ立っていた。
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彼はその場に兀然と立ち尽くし、周囲を威圧するかのようだった。
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巨大な目標が、彼らの前に兀然と立ちはだかっていた。
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標準
standing motionlessly
作例 · 標準
彫像は、かつての栄華を偲ばせるように兀然と建っていた。
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彼は無言で、ただ兀然とそこに座っていた。
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荒野の真ん中に、一本の枯れ木が兀然と立っていた。
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