枯れ
かれ
名詞
標準
文例 · 用例
タウコギは末枯れて、水蕎麦蓼など一番多く繁っている。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
渝らぬ契りの誰れなれや千年の松風颯々として血汐は殘らぬ草葉の緑と枯れわたる霜の色かなしく照らし出だす月一片何の恨みや吊ふらん此處鴛鴦の塚の上に。
— 樋口一葉 『別れ霜』 青空文庫
よにもさびしい私の人格がおほきな聲で見知らぬ友を呼んでゐるわたしの卑屈で不思議な人格が鴉のやうなみすぼらしい樣子をして人氣のない冬枯れの椅子の片隅にふるへて居る。
— 萩原朔太郎 『蝶を夢む』 青空文庫
いま風景は秋晩くすでに枯れたりわれは燒石を口にあててしきりにこの熱する 唾のごときものをのまんとす。
— 萩原朔太郎 『純情小曲集』 青空文庫
さうして磯草の枯れた砂地にふるく錆びついた時計のやうでもないではないか。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
避雷針は空に向つて泣いて居るし、街路樹は針のやうに霜枯れて寂しがつてる。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
さうした農家の裏山には、小高い冬枯れの墓丘があつて、彼等の家族の長い歴史が、あまたの白骨と共に眠つてゐる。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
書生は飯を食はうとして、枯れた芝草の倉庫の影に、音樂の忍び居り、蟋蟀のやうに鳴くのを聽いた。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫