饒
饒
名詞
標準
文例 · 用例
そうして、喧しい饒舌や空しい多言は、幻影を実有のごとくに語るのである。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
それ故に孤独者は、常に最も饒舌の著者である。
— 萩原朔太郎 『僕の孤独癖について』 青空文庫
それ故に孤独者は常に最も饒舌の者である。
— 萩原朔太郎 『僕の孤独癖について』 青空文庫
この人一度口を開いては、饒舌多岐に亙り盡きる所を知らない。
— 萩原朔太郎 『歳末に近き或る冬の日の日記』 青空文庫
家敷の二方に並ぶ病室からは、患者や附添人等の呑気な饒舌が、時には高く、その余はゴトゴトと聞えて来た。
— 中原中也 『医者と赤ン坊』 青空文庫
「病室の奴等は……」と思ふとその饒舌の声々に腹が立つたが、その入院してる一人々々の顔を憶ひ出すと、何にも云へぬ気がした。
— 中原中也 『医者と赤ン坊』 青空文庫
それでも石の河原のような小隆起を、二タ山ほど盲越えに越えた、高頭君はウラジロキンバイが多いと、指して驚いている、この高山植物は、白馬岳や八ヶ岳に産したものだが、今濫採されて、稀少になったものだそうで、今のところ、ここが最も豊饒な産地であろうと語られた。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
もっともこう言った雪の美しさだけなら、何も高山に限らず、寒帯地方で、もっと大規模に見られるかも知らぬが、高山特得ともいうべきは、空の濃碧であること、色彩の光輝あること、植物の変化と豊饒なることなどが、その背景になっていることで、北寒地方の雪といえども、これらには辛うじて匹敵し得られるに過ぎまい。
— 小島烏水 『高山の雪』 青空文庫