麾
麾
名詞
標準
文例 · 用例
その側に立てるはネー將軍、ナポレオン麾下の名將にして、鬼と呼ばれた人でございます。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
奴は凱歌の喇叭を吹き鳴らして、後れたる人力車を麾きつつ、踏み段の上に躍れり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
半ばを多一に振掛けた、半ばを握って捌いたのを、翳すばかりに、浪屋の二階を指麾いた。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
近頃は作者|夥間も、ひとりぎめに偉くなって、割前の宴会の座敷でなく、我が家の大広間で、脇息と名づくる殿様道具の几に倚って、近う……などと、若い人たちを頤で麾く剽軽者さえあると聞く。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
」と云いしが※して、土間より立ったる半纏着の壮佼を麾き、「ちょいと、火鉢をね。
— 泉鏡花 『照葉狂言』 青空文庫
一通りの挨拶終つて後、夫人は愛兒を麾くと、招かれて臆する色もなく私の膝許近く進み寄つた少年、年齡は八|歳、名は日出雄と呼ぶ由、清楚とした水兵風の洋服姿で、髮の房々とした、色のくつきりと白い、口元は父君の凛々しきに似、眼元は母君の清しきを其儘に、見るから可憐の少年。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
手を挙げて、二三度|続ざまに麾くと、あとの二人もひらひらと、高く手巾を掉るのが見えた。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
」 こはそも華族の御身として、かったいものの屠犬児に、直接御面会は心得ずと、矢島は思えど、主命なれば、来れ、と渠を麾きて、庭口より露地へ廻れば、夫人は縁側に褥を移して、綾子と二人並び坐しつ。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫