菫色
すみれいろ
名詞
標準
文例 · 用例
」 と菫色の手巾で、口許を蔽うて笑ったが、前髪に隠れない、俯向いた眉の美しさよ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
その時義経少しも騒がず、落ちた菫色の絹に風が戦いで、鳩の羽はっと薫るのを、悠々と拾い取って、ぐっと袂に突込んだ、手をそのまま、袖引合わせ、腕組みした時、色が変って、人知れず俯向いたが、直ぐに大跨に夫人の後について、社の廻廊を曲った所で追着いた。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
当座の御礼のしるし迄に……」と先刻拾って置いた菫色の手巾を出すと、黙って頷いたばかりで、取るような、取らぬような、歩行きながら肩が並ぶ。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
枕に手を支き、むっくり起きると、あたかもその花環の下、襖の合せ目の処に、残燈の隈かと見えて、薄紫に畳を染めて、例の菫色の手巾が、寂然として落ちたのに心着いた。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
菫色の横封筒……いや、どうも、その癖、言う事は古い。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫
鶸の嘴がちょっと触っても微な菫色の痣になりそうな白玉椿の清らかに優しい片頬を、水紅色の絹|半※でおさえたが、且は桔梗紫に雁金を銀で刺繍した半襟で、妙齢の髪の艶に月の影の冴えを見せ、うつむき加減の頤の雪。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
一方、私|共の眼に感ずる光の波長は、 〇、〇〇〇七六|粍 (赤色) 乃至 〇、〇〇〇四 粍 (菫色) ですからこれよりちいさなものの形が完全に私|共に見えるはずは決してないのです。
— 宮沢賢治 『手紙 三』 青空文庫
空は濃い菫色をしてゐた。
— 梶井基次郎 『闇への書』 青空文庫