懸声
かけごえ
名詞
標準
文例 · 用例
」「………………」「そして何よ、ア、ホイ、ホイ、アホイと厭な懸声がよ、火の浮く時は下へ沈んで、火の沈む時は上へ浮いて、上下に底澄んで、遠いのが耳について聞えるだ。
— 泉鏡花 『海異記』 青空文庫
黙って漕げ、といわっしゃるで、おらは、スウとも泣かねえだが、腹の中で懸声さするかと思っただよ。
— 泉鏡花 『海異記』 青空文庫
下りるとね、車夫はたった今乗せたばかりの処だろう、空車の気前を見せて、一つ駆けで、顱巻の上へ梶棒を突上げる勢で、真暗な坂へストンと摺込んだと思うと、むっくり線路の真中を躍り上って、や、と懸声だ。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
用なしの身体ゆえ、客人が其処へ寄って、路傍に立って、両方ともやたらに飛車角の取替えこ、ころりころり差違えるごとに、ほい、ほい、と言う勇ましい懸声で。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
大巌の崖が薄黒く、目の前へ蔽被さって、物凄うもなりましたので、褌を緊め直すやら、膝小僧を合わせるやら、お船頭が、ほういほうい、と鳥のような懸声で、浜へ船をつけまして、正体のない嘉吉を撲ぐる。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
ドッコイ、ドッコイ、ドッコイショと、爺様のような懸声をしながら漸く河を渡り、やがて町付という寒村に来掛かれば、もう時刻は正午に近い。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
半札の円輔三十六「さて早や、」と云う懸声で大和家の格子戸を開けて入る、三遊派の落語家に円輔とて、都合に依れば座敷で真を切り、都合に依れば寄席で真を打つ好男子。
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫
」と懸声をするは円輔なり。
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫