転席
てんせき
名詞
標準
文例 · 用例
転席の余地がないので、不便な姿勢と図抜けた大声を忍ばなければならなかった二人の云う事は一々津田に聴こえた。
— 夏目漱石 『明暗』 青空文庫
「どう、うまくいって」 もうどこかへ行ってしまったかと思ったエミリーが、辛抱強く運転席の隣に座って待っていた。
— 海野十三(丘丘十郎) 『地球発狂事件』 青空文庫
「前のほうにしましょう」 運転席にすべりこむと、愛一郎が、となりにサト子の席をつくってくれた。
— 久生十蘭 『あなたも私も』 青空文庫
「こまったことに、なりそうだ」 空巣にはいったポロ・シャツの青年が、ナリをかえて自家用車の運転席におさまっているのを確認した以上、そのままに放っておくわけはない。
— 久生十蘭 『あなたも私も』 青空文庫
むこうの運転席の脇窓と、こちらの車房の脇窓が並ぶ位置になると、中村は、いきなり座席に身を伏せた。
— 久生十蘭 『あなたも私も』 青空文庫
「すみません」 久美子が運転席に腰を落ちつけると、車が走りだした。
— 久生十蘭 『肌色の月』 青空文庫
運転席のドライヴァーが聞いているはずのラジオの番組が、ほんの一瞬僕たちの耳にも届いた、と錯覚しても許されるほどの至近距離だった。
— 片岡義男 『ラハイナまで来た理由』 青空文庫
運転席に入り、中古車の匂いをかぎながら、ハリー・オーの手が明らかに老けつつあることについて、僕は思った。
— 片岡義男 『ラハイナまで来た理由』 青空文庫