逸事
いつじ
名詞
標準
anecdote
文例 · 用例
さうして西鶴は、さまざまな貯蓄の名人の逸事を報告してゐるのである。
— 太宰治 『金錢の話』 青空文庫
其いたずら童子に失敗的逸事が一つあって、井戸に関した事であるから書いて見よう。
— 伊藤左千夫 『井戸』 青空文庫
むしろ故人と親しかった二、三の人が、故人の色々な方面に関する略歴や逸事のようなものを、誰にも分る普通の言葉で話して、そうして故人の追憶を新たに喚び起すようにした方がもう少し意味がありはしないか。
— 寺田寅彦 『鑢屑』 青空文庫
此の男だから、今では逸事と稱しても可いから一寸素破ぬくが、柳橋か、何處かの、お玉とか云ふ藝妓に岡惚をして、金がないから、岡惚だけで、夢中に成つて、番傘をまはしながら、雨に濡れて、方々蛙を聞いて歩行いた。
— 泉鏡太郎 『番茶話』 青空文庫
そのほか、勾当の逸事は枚挙に遑なし。
— 太宰治 『盲人独笑』 青空文庫
けれども、あの山椒魚の失敗にしても、またこのたびの逸事にしても、先生にとっては、なかなか悲痛なものがあったに違いない、と私には思われてならぬので、前回の不評判にも懲りずに、今回ふたたび先生の言行を記録せむとする次第なのである。
— 太宰治 『花吹雪』 青空文庫
漱石は、その己の銭湯の逸事を龍之介に語り、龍之介は、おそれおののいて之を世間に公表したようであるが、龍之介は漱石の晩年の弟子であるから、この銭湯の一件も、漱石がよっぽど、いいとしをしてからの逸事らしい。
— 太宰治 『花吹雪』 青空文庫
青砥が浪々の身で、牛を呶鳴り、その逸事が時頼の耳にはいり、それは面白い男だという事になって引付衆にぬきんでられたのである。
— 太宰治 『新釈諸国噺』 青空文庫
作例 · 標準
伝記には、その偉大な科学者の人間味あふれる逸事がいくつも紹介されている。
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祖父は酔うと決まって、若き日の失敗談を面白おかしい逸事として語ってくれた。
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面接官は、彼のユニークな逸事を聞いて、思わず笑みをこぼした。
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