電
でん
名詞
標準
文例 · 用例
いつしか月も経って、忘れもせぬ六月二十二日、僕が算術の解題に苦んで考えて居ると、小使が斎藤さんおうちから電報です、と云って机の端へ置いて去った。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
誰にも仕様がないから、政夫さんの所へ電報を打った。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
ただし、ミ・ム及びビから変じて出来たウは、文字では「う」と書かれているが、純粋のウでなく、鼻音を帯びたウの音で、今のデンワ(電話)のン音と同種のものであったろうと思われる。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
機械文明は電灯に半透明の硝子を用いるか、或いは間接照明法として反射光線を利用するかによってこの目的を達しようとする。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
僕等は電光の森かげから夕闇のくる地平の方から烟の淡じろい影のやうでしだいにちかづく巨像をおぼえたなにかの妖しい相貌に見える魔物の迫れる恐れをかんじた。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
花やかなる情緒深夜のしづかな野道のほとりでさびしい電燈が光つてゐるさびしい風が吹きながれるこのあたりの山には樹木が多く楢、檜、山毛欅、樫、欅の類枝葉もしげく鬱蒼とこもつてゐる。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
しづかな、電光の、抹殺する、まるで夢のやうな兇行だから市街に自動車は平氣ではしりどんな平和だつてみだしはしない。
— 萩原朔太郎 『蝶を夢む』 青空文庫
狼見よ來る遠くよりして疾行するものは銀の狼その毛には電光を植ゑいちねん牙を研ぎ遠くよりしも疾行す。
— 萩原朔太郎 『蝶を夢む』 青空文庫