物好み
ものごのみ
名詞
標準
文例 · 用例
この際の祝宴については、いつも華奢に流れることは遠慮したいとお言いになる院も、あまりお止めにはならなかったために、目もくらむほどのお産養の日が続き、ぼんやりとしていた筆者にその際の洗練された細かな物好みで製作されたおのおのの式の賀品などのことによく気がつかなかった。
— 若菜(上) 『源氏物語』 青空文庫
高級役人であった家の子孫で、親戚も皆よく、財産はすばらしいほど持っていたから自尊心も強く、生活も派手に物好みを尽くしている割合には、荒々しい田舎めいた趣味が混じっていた。
— 東屋 『源氏物語』 青空文庫
呉春は、『胆大小心録』の著者上田秋成から、「食いものは、さまざまと物好みが上手じゃった。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
だから、私は段々普通の書物好みから遠ざかつて行つた様です。
— 折口信夫 『新しい国語教育の方角』 青空文庫
今日のジャーナリズムは寧ろディレッタンティズムに近いが(トリビアリズム・下手物好み等々)、二つが近いことに無理があると共に、二つが似て非なる所以も真理である。
— 戸坂潤 『思想としての文学』 青空文庫
食事も普通にて別に物好みもこれ無く、ただ器械的に箸より口へ移すまでにてこれ有り。
— 徳富蘇峰 『吉田松陰』 青空文庫
たった今日初めて逢ったばかりですが、この女の異常な物好みが、余吾之介にもよく解るような気がしたのです。
— 野村胡堂 『十字架観音』 青空文庫
物好みというには余りに怖ろしい執念ではある」 と、ひとり慨然としていった。
— 吉川英治 『梅里先生行状記』 青空文庫