撒散
撒散
名詞
標準
文例 · 用例
ところで、姫様のお乳母どの、湯尾峠の万年姥が、某へ内意==降らぬ雨なら降るまでは降らぬ、向後汚いものなど撒散らすにおいてはその分に置かぬ==と里へ出て触れい、とある。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
並んだ小屋は軒別に、声を振立て、手足を揉上げ、躍りかかって、大砲の音で色花火を撒散らすがごとき鳴物まじりに人を呼ぶのに。
— 泉鏡花 『革鞄の怪』 青空文庫
伝五|爺の胸を圧えて、「人が立騒いで邪魔したら、撒散かいて払い退きょうと、お前に預けた、金貨銀貨が、その懐中に沢山ある。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
坊主は、――坊主は――ああ、我ながら、いやな坊主を口で吐いて、広間じゅう撒散したようで、聞く耳、交す口に、この息も嘸ぞ臭かったに相違ない、とほッとした、我がその息さえ腥い。
— 泉鏡花 『露萩』 青空文庫
あの貰った莨を一口吸った時から、心臓が咽喉につかえ、体は押潰されるようにテーブルの上に前倒って、四辺は黝く霞み、例えようもない苦痛が、全身に激しいカッタルサを撒散し乍ら駈廻った。
— 蘭郁二郎 『孤独』 青空文庫