沸き滾る
わきたぎる
動詞
標準
文例 · 用例
張る気の作用は刻々分々瞬間々々に流動し沸き滾る活発な生気で、まるでナタ太子(道教で崇められている少年神)の六本の腕が用に応じて対処するような、川に張った長網の千万億目の目が皆張って魚来れば即捉える状態である。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
いつものように私の胸の中は沸きたぎるようだったけれど、父の家は手狭でもあったし、生憎人もごたごたしていたので、息もろくにつけずに、胸に手を置いたような、重くろしい気もちでその夜は明かした。
— 堀辰雄 『かげろうの日記』 青空文庫
沸きたぎる釜の湯から酌み出されたそれが、茶わんのうちへ、とうとうと、泉の口でも落したように、部屋の寂寞を快くやぶって注がれると、彼女は、にこと横を向いて、「いいえもう、表の坪の菊は、二、三輪ほど、よい香を放っておりまする」「そうか、咲いたか。
— 第二分冊 『新書太閤記』 青空文庫
八角形の鏡のへやは、いまや沸きたぎる人肉のるつぼと化した。
— 江戸川乱歩 『影男』 青空文庫