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業風

ごうふう
名詞
1
標準
文例 · 用例
ただ有り合ふ世だけに当嵌めて、その場その場に身を生すことを考へて来た――事実、恋ふべき過去でも無い、信じられる未来とも思へなかつた、業風の吹くままに遊び散らし、書き散らし、生き散らして来たと思へる生涯が、なぜか今宵は警めなしに顧りみられる。
岡本かの子 上田秋成の晩年 青空文庫
かの地獄の業風なりとも、かばかりにとぞ覺ゆる。
鴨長明 方丈記 青空文庫
黄いろな陽の光を掠めて業風のような風が吹いて、それが焔を八方に飛ばし、それが地震で瓦を落した跡の簷のソギをばらばらと吹き飛ばしていた。
田中貢太郎 変災序記 青空文庫
慈悲と忍辱の道場であって、業風と悪雨の交錯地でもある、有漏路より無漏路に通ずる休み場所である。
中里介山 「峠」という字 青空文庫
真如は大海の水の如く、無明は業風によって起る波浪の如しと申しますれば、水のほかに浪無く、浪のほかに水無く、海水波浪一如なる道理のほどはわかりますが、円満なる大海の水を、波濤として湧き立たせる業風は、そもいずれより来るということがわかりませぬ。
弁信の巻 大菩薩峠 青空文庫
さればこそ、三輪の里には業風が吹きそめて、藍玉屋の金蔵はそれがために生命をかけた。
京の夢おう坂の夢の巻 大菩薩峠 青空文庫
もっと謡えよ」月|充ち日足りて生産の時いたれば業風ふきて是を促し骨節ことごとく痛み苦しむ父も心身おののき懼れ母と子とを憂念し諸親|眷族みな苦悩すすでに生れて草上に堕つれば父母、欣び限りなく猶、貧女の如意珠を得たるが如し 初めはふざけていた彼らも、次第に意味が酌めて来ると、聞くともなく聞き惚れていた。
空の巻 宮本武蔵 青空文庫