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浸し

ひたし
名詞
1
標準
文例 · 用例
兎の害を防ぐ爲めに魚の腸の腐つたのに浸して結びつけられた古藁は、果樹の幹に物臭く垂れ下つてゐる。
有島武郎 青空文庫
もう山を浸していた霧も、気温のために、方々から湯気のように蒸騰して、砂の息蒸の匂いが何処からともなくする、二合五勺に辿り着いた頃には、近くは勾玉状に光れる山中湖と、その湖畔の村落と、遠くは函根足柄を越えて、大磯平塚の海岸、江の島まで見えた。
小島烏水 雪中富士登山記 青空文庫
(明治四十年九月二十九日『東京朝日新聞』)         九      心臓の鼓動 犢から取った血清を水に浸しておくとその中の塩分がだんだんに脱けて来る。
寺田寅彦 話の種 青空文庫
河向ひから池までの熊笹を切開いた路はぐしよ/\に水浸しになつて歩きにくかつた。
寺田寅彦 雨の上高地 青空文庫
河向いから池までの熊笹を切開いた路はぐしょぐしょに水浸しになって歩きにくかった。
寺田寅彦 雨の上高地 青空文庫
あのいわゆるマントルは布片にソリウム及びセリウムと名づける元素の化合物を浸したもので、これを瓦斯口の上に着せ火を点ければ、植物質は焼けてソリアの灰の網が出来る。
寺田寅彦 ランプのいろいろ 青空文庫
わびしかるべき茎だちの浸しもの、わけぎのぬたも蒔絵の中。
泉鏡花 雛がたり 青空文庫
これは、一秒に砂一|粒、幾億万年の後には、この大陸を浸し尽そうとする処の水で、いまも、瞬間の後も、咄嗟のさきも、正に然なすべく働いて居るのであるが、自分は余り大陸の一端が浪のために喰欠かれることの疾いのを、心細く感ずるばかりであった。
泉鏡花 星あかり 青空文庫