愛馬
あいば
名詞
標準
favourite horse
文例 · 用例
茶屋の際の葉柳の下枝を潜って、ぬっくりと黒く顕われたのは、鬣から尾に至るまで六尺、長の高きこと三尺、全身墨のごとくにして夜眼一点の白あり、名を夕立といって知事の君が秘蔵の愛馬。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
「あらわれましたのは、ソコヌケ将軍に、愛馬クロにござーい」 留じいさんが口上をのべますと、正坊はクロのせなかから、コロリところげ落ちてみせました。
— 新美南吉 『正坊とクロ』 青空文庫
冬の曇日、愛馬の手綱の握りかたに就いて、その作法に就いて、二人のあいだに意見の相違が生じ、争論の末、一方の少年の、にやりという片頬の薄笑いが、もう一方の少年を激怒させた。
— 太宰治 『懶惰の歌留多』 青空文庫
父も兄も鍬を荷ひ駒を引いて歸つてきた例の兄の愛馬が鼻|放る聲も聞える。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
それかあらぬか、兄の少歳(手古奈の兄)は一寸見は物靜かお人よしの樣だが、武藝に掛けては容易に人に讓らぬ、如何な場合にも愛馬を手離すと云ふことはない。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
少歳は愛馬の夜飼をあてがうて、歸りに貯の栗柿など採出でゝ、俄に變る一家の歡樂場は四隣の人を羨せる笑ひどよめきを漏らした。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
一日も乘らぬといふことなかつた愛馬をすら見んともせない。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
彭城を追はれた項羽が遼河の岸にたどり着いた時には、愛馬の騅と范増とがとぼとぼと影を踏みながら歩いて来るより外、風すら追うて来なかつた。
— 牧野信一 『悲しき項羽』 青空文庫
作例 · 標準
例句