疇昔
ちゅうせき
名詞
標準
文例 · 用例
諸王不穏の流言、朝に聞ゆること頻なれば、一日帝は子澄を召したまいて、先生、疇昔の東角門の言を憶えたもうや、と仰す。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
われは前度の別をおもひて、サンタ夫人との應對いかがあらんと氣遣ひしに、夫人の優しく打解けたるさまは、毫も疇昔に異ならざりき。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
疇昔の日おん身が物思はしげに打沈みてのみ居給ひしとき、拙き身のそを慰め參らせばやとおもひしことあり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
唯だ小尼公のすゞしき目の我面を見上げて、衆人の罪惡の爲めに代りて我に謝するに似たるありて、われはその辱の疇昔よりも忍び易きを覺えたり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
そしてその酸き味のあとに舌に觸れる一種の※澤に邂逅して、忽然として疇昔の情を囘想したのである。
— 木下杢太郎 『すかんぽ』 青空文庫
しかし抽斎との情誼を忘るることなく、早晩|疇昔の親みを回復しようと思っているうちに、図らずも抽斎に死なれた。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
疇昔より山陽の伝を作るものは、皆此幽屏の前後に亘る情実を知るに困んだ。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
疇昔の日無名氏があつて、わたくしに門司新報の切抜を寄せてくれた。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫