鍮
鍮
名詞
標準
文例 · 用例
死ももう、とほくはないのかもしれない……2『それではさよならといつて、めうに真鍮の光沢かなんぞのやうな笑を湛へて彼奴は、あのドアの所を立ち去つたのだつたあね。
— 中原中也 『山羊の歌』 青空文庫
さうして、その空地や、新しく均らされた土の上には、亜鉛屋根だの、軒燈だの、白木の門などが出来て、今まで真鍮の鋲を打つたやうな星の光もどうやら鈍くなり、電気燈が晃々とつくやうになつた。
— 小島烏水 『亡びゆく森』 青空文庫
銃口にはめた真鍮の蓋のようなものを注意して見ているうちに、自分が中学生のとき、エンピール銃に鉛玉を込めて射的をやった事を想い出した。
— 寺田寅彦 『雑記(1)』 青空文庫
皮製で財布のような恰好をした煙草入れに真鍮の鉈豆煙管を買ってもらって得意になっていた。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
私と向い合うと、立掛けてあった鉄砲――あれは何とかいう猟銃さ――それを縦に取って、真鍮の蓋を、コツコツ開けたり、はめたりする。
— 泉鏡花 『古狢』 青空文庫
……この度の参宮には、都合あって五二館と云うのへ泊ったが、内宮様へ参る途中、古市の旅籠屋、藤屋の前を通った時は、前度いかい世話になった気で、薄暗いまで奥深いあの店頭に、真鍮の獅噛火鉢がぴかぴかとあるのを見て、略儀ながら、車の上から、帽子を脱いでお辞儀をして来た。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
……」 聞くと……真鍮台、またの名を銀流しの藤助と言う、金箔つきの鋳掛屋で、これが三味線の持ぬしであった。
— 泉鏡花 『唄立山心中一曲』 青空文庫
四角でもなし、円でもなし、真鍮の獅噛火鉢は、古寺の書院めいて、何と、灰に刺したは杉の割箸。
— 泉鏡花 『菎蒻本』 青空文庫