御膝元
おひざもと
名詞
標準
文例 · 用例
何を言っても江戸は日本一御繁昌の御膝元なんだからね。
— 江戸に帰った退屈男 『旗本退屈男 第九話』 青空文庫
仔細もなしに半鐘をつき立てて公方様の御膝元をさわがす――その罪の重いのは云うまでもない。
— 半鐘の怪 『半七捕物帳』 青空文庫
老人は呼吸を計って首をあげながら「私ももとはこちらに屋敷も在って、永らく御膝元でくらしたものでがすが、瓦解の折にあちらへ参ってからとんと出てこんのでな。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
しかもこの御姫様は御気象も並々ならず御闊達でいらっしゃいましたから、なまじいな殿上人などは、思召しにかなう所か、すぐに本性を御見透しになって、とんと御寵愛の猫も同様、さんざん御弄りになった上、二度と再び御膝元へもよせつけないようになすってしまいました。
— 芥川龍之介 『邪宗門』 青空文庫
そしてそれは大君のまします御膝元の地として、オオヤマトと敬称したものであったが、後には文字をそのままに、単にヤマトと呼ぶ例となった。
— 喜田貞吉 『国号の由来』 青空文庫
(若しそれイキゴトに至つては、御膝元の鏑木さんよりも、ワカル、悪老、日光の放庵だ。
— 木村荘八 『小杉放庵』 青空文庫
「何か途中に變つたところがありやしなかつたかい、喧嘩とか、出入事とか、――お前さんに突き當つて、馬から眼を外らせた奴とか」「そんなものは、御座いません、――御膝元とは言ひ乍ら、三千兩の大金をかう無事に持つて行けるんだから、本當に有難いことだと思ひました、それが――」 太兵衞は口惜しさうです。
— 結納の行方 『錢形平次捕物控』 青空文庫
一|揆が事を起す前に七人の同志と江戸に潜行し將軍御膝元で事を擧げるつもりでしたが、島原の亂も案外早く平定し、徳川の礎はいよ/\鞏固で、痩浪人の策動では何うにもならないと解ると、七人の同志と相談して、チリヂリバラバラになり、芳村道之丞は其中心人物として、長い間一味の連絡に當つて居りました。
— 鈴を慕ふ女 『錢形平次捕物控』 青空文庫