溺
溺
名詞
標準
文例 · 用例
僕の第二詩集「青猫」は、その惑溺の最中に書いた抒情詩の集編であり、したがつてあのショーペンハウエル化した小乗仏教の臭気や、性慾の悩みを訴へる厭世哲学のエロチシズムやが、集中の詩篇に芬々として居るほどである。
— 萩原朔太郎 『ニイチェに就いての雑感』 青空文庫
されば私の詩風には、近代印象派の詩に見る如き官能の耽溺的靡亂がない。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
否、形式の完美が即ち内容それ自身である、之れに對して自由主義とは、時間的、音樂的の美を愛溺する主觀派である。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
月光と海月月光の中を泳ぎいでむらがるくらげを捉へんとす手はからだをはなれてのびゆきしきりに遠きにさしのべらるもぐさにまつはり月光の水にひたりてわが身は玻璃のたぐひとなりはてしかつめたくして透きとほるもの流れてやまざるにたましひは凍えんとしふかみにしづみ溺るるごとくなりて祈りあぐ。
— 萩原朔太郎 『純情小曲集』 青空文庫
尚この詩集を書いた當時、私はシヨーペンハウエルに惑溺してゐたので、あの意志否定の哲學に本質してゐる、厭世的な無爲のアンニユイ、小乘佛教的な寂滅爲樂の厭世感が、自から詩の情想の底に漂つてゐる。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
或は涙もろくなり、情緒に溺れ、哀切耐えがたくなって、嗚咽する。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
したがって前者の特色は、愛や憐憫やの情緒に溺れ、或は道義観や正義観やの、意志の主張するところを強く掲げ、すべてに於て音楽のように燃焼的である。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
・ 感情に溺れる勿れ。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫