拝九
はいきゅう
名詞
標準
文例 · 用例
百年二百年或いは三百年前の、謂わばレッテルつきの文豪の仕事ならば、文句もなく三拝九拝し、大いに宣伝これ努めていても、君のすぐ隣にいる作家の作品を、イヒヒヒヒとしか解することが出来ないとは、折角の君の文学の勉強も、疑わしいと言うより他はない。
— 太宰治 『如是我聞』 青空文庫
或る評論家は、ある老大家の作品に三拝九拝し、そうして曰く、「あの先生にはサーヴィスがないから偉い。
— 太宰治 『如是我聞』 青空文庫
それにもかかわらず、読者は、一度掴んだ鬼の首を離そうともせず、ゲエテはどうも梅毒らしい、プルウストだって出版屋には三拝九拝だったじゃないか、孤蝶と一葉とはどれくらいの仲だったのかしら。
— ――当りまえのことを当りまえに語る。 『もの思う葦』 青空文庫
「更に問わむ、太宰もまた泣いて原稿を買って下さい、とたのみ、チエホフも扉の敷居すりへって了うまで、売り込みの足をはこんだ、ゴリキイはレニンに全く牛耳られて易々諾々のふうがあった、プルウストのかの出版屋への三拝九拝の手紙、これをこそ、きみ、リアルというか。
— 太宰治 『HUMAN LOST』 青空文庫
兄も、死んだ母も、三拝九拝して、来て頂いたんでしょう。
— 菊池寛 『貞操問答』 青空文庫
そうしてその白紙の蓋がホンノリと黄色く染まった頃を見計らって、紙の上の茶粕を取除けると、天幕の中に進み入って、安楽椅子の上に身を横たえた富豪貴人たちの前に、三拝九拝して捧げ奉るのです。
— 夢野久作 『狂人は笑う』 青空文庫
自分たちが持っているだけの智慧も、度胸も、学問も、地位も、名誉も、生命までも投げ出して、この絵巻物の魔力の前に三拝九拝しているのだ。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
その郵便局の局長さんは、まだ二十代の若い人であったが、話ぶりを聞くとそこいらでも一流の文学青年らしく、あまり有名でもない私の名前をよく知っていて、非常にペコペコして三拝九拝しながら私が持って行った手土産の菓子箱を受取ったものであった。
— 夢野久作 『眼を開く』 青空文庫