清掻き
すががき
名詞
標準
文例 · 用例
ただ清掻きをされるのにもあらゆる楽器の音を含んだ声が立ちますよ」 と源氏は言った。
— 常夏 『源氏物語』 青空文庫
「貫川の瀬々のやはらだ」(やはらたまくらやはらかに寝る夜はなくて親さくる妻)となつかしい声で源氏は歌っていたが「親さくる妻」は少し笑いながら歌い終わったあとの清掻きが非常におもしろく聞かれた。
— 常夏 『源氏物語』 青空文庫
和琴を清掻きに弾いて、「玉藻はな刈りそ」と歌っているこのふうを、恋しい人に見せることができたなら、どんな心にも動揺の起こらないことはないであろうと思われた。
— 真木柱 『源氏物語』 青空文庫
支那から伝わった弾き方をする楽器はかえって学びやすいが、和琴はただ清掻きだけで他の楽器を統制していくものであるからむずかしい芸で、そしてまたおもしろいものなのである。
— 若菜(上) 『源氏物語』 青空文庫
私は右の耳に江戸清掻きの音を聞き、左の耳に角田川の水の音を聞いてゐるやうな心もちがした。
— 芥川龍之介 『世之助の話』 青空文庫
あはれ、聴け、光は噎び、海顫ひ、清掻焦がれ眩暈めく悲愁の極、苦悶そふ歓楽のせてキユラソオの紅き帆ひびく。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
その緑琴柱にはして、弾きなづむ鳩の羽の夢、幌の星、剣のなげき、清掻はほのかに薫ゆる。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
かうほねきけ、あけぼのの香炉に、連弾く夜半のそらだき薄らひ、ほのにあかれば、清掻、やがてもはらにひとつの香のいろのみ薫ゆりぬ、――あはれ、水の面の後朝、――誰をかかへすと、さは水無月のつくゑに香の火※くや、かうほね。
— 北原白秋 『第二邪宗門』 青空文庫