月夜見
つくよみ
名詞
標準
文例 · 用例
唯今は凄いほど、星がきらついて参りましたが、先刻、その時分は、どんよりして、まるで四月なかばの朧月夜見たような空合、各自に血が上っておりましたせいか、今日の寒さに、皆汗を掻いたでござります。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
月夜見の神の力の測りなくて、断雲一片の翳だもない、蒼空一面にてりわたる清光素色、唯|亭々皎々として雫も滴たるばかり。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
加之何なのぢや、それ、国常立尊、国狭槌尊、豊斟渟尊、大苫辺尊、面足尊、惶根尊、伊弉諾尊、伊弉冊尊、それから大日霊尊、月夜見尊、この十柱の神様はな、何れも皆立派な美徳を具へた神様達ぢやが、わが天理王の命と申すは、何と有難い事でな、この十柱の神様の美徳を悉皆具へて御座る。
— 石川啄木 『赤痢』 青空文庫
加之何なのぢや、それ、國常立尊、國狹槌尊、豐斟渟尊、大苫邊尊、面足尊惺根尊、伊弉諾尊、伊弉册尊、それから大日靈尊、月夜見尊、この十柱の神樣はな、何れも皆立派な美徳を具へた神樣達ぢやが、わが天理王の命と申すは、何と有難い事でな、この十柱の神樣の美徳を悉皆具へて御座る。
— 石川啄木 『赤痢』 青空文庫
さういふ風に昔の人が、月夜見命などゝいふ神典の上の神の感じとは別に、月の神を感じて居り、その月の神に花をさしあげるのが、月見といふのです。
— 折口信夫 『日本美』 青空文庫
そして、我国の牛の初見は、日本書紀の一書に、天照大神が月夜見尊に勅して、葦原中国に保食神を訪ねさせし際に、保食神の無礼に接して、月夜見尊忿然(中略)。
— 中山太郎 『穀神としての牛に関する民俗』 青空文庫
「若狭なる三方の海の浜|清みい往き還らひ見れど飽かぬかも」(巻七・一一七七)、「百伝ふ八十の島廻を榜ぎ来れど粟の小島し見れど飽かぬかも」(巻九・一七一一)、「白露を玉になしたる九月のありあけの月夜見れど飽かぬかも」(巻十・二二二九)等、ほか十五、六の例がある。
— 斎藤茂吉 『万葉秀歌』 青空文庫